タルセバ(エルロチニブ)-肺がん、膵がん
- 2011年07月05日
- _がんニュース/がん治療・治療薬情報
タルセバは非小細胞肺がんに使われる分子標的薬です。イレッサ(ゲフィチニブ)と同じ作用メカニズムを持っています。イレッサで問題になった間質性肺炎の副作用はタルセバでも起こるので気を付けなくてはなりません。
2011年7月1日に効能が追加され、膵臓がんにも使えるようになりました。その際は単独ではなく、ジェムザール(ゲムシタビン)と併用することになっています。
【薬剤師のコメント】タルセバは膵臓がんに使うことができる薬剤として重要です。ジェムザールと併用しなくてはなりませんが、併用すると間質性肺疾患の発現率が上昇してしまいます。生命に関わる副作用ですから、服用中は十分な観察が必要です。咳や息苦しさがあればすぐに病院に連絡してください。
グレープフルーツは果実もジュースも控えてください。セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)を含むサプリメントも控えます。
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独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
【成分名】
エルロチニブ
【商品名】
タルセバ
【効能・効果】
切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌
治癒切除不能な膵癌
【警告・注意事項】
間質性肺疾患があらわれることがあります。初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察が必要です。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行います。
国内臨床試験で間質性肺疾患により死亡に至った症例があります。治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用の発現を観察します。
膵癌を対象としたゲムシタビンとの併用療法の国内臨床試験における間質性肺疾患の発現率は8.5%です。海外第III相試験3.5%や、非小細胞肺癌を対象とした本剤単独療法の国内臨床試験4.9%及び特定使用成績調査(全例調査)4.5%と比べて高いため、膵がんの治療ではより慎重な観察が必要です。
【副作用発現率】 →抗がん剤の副作用
タルセバの単独の安全性評価対象例123例中、123例(100.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、発疹96.7%、下痢71.5%、皮膚乾燥65.0%、そう痒症61.8%です。
非小細胞肺癌を対象とした、安全性解析対象症例3,488例中2,852例(81.8%)に副作用が認められました。主な副作用は、ざ瘡様皮疹等の発疹63.0%、下痢23.5%でした。間質性肺疾患は4.5%に認められ、間質性肺疾患による死亡例は1.6%です。
膵癌を対象とした国内第II相臨床試験においてゲムシタビンとの併用療法を受けた安全性評価対象例106例中、105例(99.1%)に副作用が認められました。主な副作用は、ざ瘡様皮疹等の発疹93.4%、白血球減少80.2%、血小板減少72.6%、食欲不振72.6%、ヘモグロビン減少71.7%、ヘマトクリット減少68.9%、好中球減少68.9%です。
【奏効率】
<国内>非小細胞肺癌 奏効率28.3%
<国内>膵がん 奏効率20.3% 生存期間中央値9.23ヶ月
【生存期間中央値】
非小細胞肺がん(外国)
項目 | 本剤投与群 | プラセボ投与群 |
---|---|---|
全生存期間 (中央値) |
6.67カ月 | 4.70カ月 |
1年生存率 | 31.2% | 21.5% |
無増悪生存期間 (中央値) |
9.71週 | 8.00週 |
奏効率 (CR+PR) |
8.9% | 0.9% |
奏効期間 (中央値) |
34.3週 | 15.9週 |
膵臓がん 外国
項目 | 本剤+GEM群 | プラセボ+GEM群 |
---|---|---|
全生存期間中央値 | 6.37カ月 | 5.91カ月 |
無増悪生存期間中央値 | 3.75カ月 | 3.55カ月 |
奏効率 | 8.6% | 8.0% |
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