トーリセル(テムシロリムス)-腎臓がん
- 更新日2023年12月08日
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トーリセルはmTORと呼ばれるタンパクの働きを阻害する分子標的薬です。根治切除(見えるがんを全て取り除く手術)不能又は転移性の腎細胞癌 に使われ、インターフェロン治療よりも生存期間を延長したとの報告が出ています。 mTORは細胞増殖の調節などに関わっており、その働きを阻害するとがんの増殖および血管新生が抑制され抗癌作用が発現すると考えられています。同じmTOR阻害薬には錠剤タイプのアフィニトール(エベロリムス)がありますが、トーリセルは注射薬です。 当然mTORは正常細胞でも働いているため、mTOR阻害剤のトーリセルは様々な副作用を引き起こします。なかでも間質性肺炎は死亡例もある危険な副作用です。服用開始後の咳や呼吸困難は見逃してはいけない兆候です。
トーリセルの添付文書からの情報
極めて重要な情報源である添付文書ですが、一般の方には非常に難解です。 少しでもわかりやすくなるように、重要性の高い情報をまとめました。 省略した情報や表現を変更した部分があります。重要な判断を必要とする場合は、必ず以下のサイトから原文を確認してください。 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 モノリスへのお問い合わせはこちらをご利用ください。お問い合せフォーム効能効果(適応症)
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌 ※トーリセル25mgを1週間に1回、30~60分間かけて点滴静脈内投与警告・禁忌・重要な注意事項
- 間質性肺疾患が認められており、死亡に至った例が報告されている。投与に際しては咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状に注意するとともに、投与前及び投与中は定期的に胸部CT検査を実施すること。また、異常が認められた場合には、適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。患者に対しても異常があればすぐに連絡するよう指導すること。
- 肝炎ウイルスキャリアの患者では、本剤の投与期間中に肝炎ウイルスの再活性化を生じ、肝不全から死亡に至る可能性がある。本剤の投与期間中又は投与終了後は、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
- 他の抗癌剤と併用しない。有効性、安全性が確立していない。
- 肝障害があると、本剤の血中濃度が上昇する恐れがある。
- 感染症が悪化する恐れがある。
- 手術中は投与を控えることが望ましい。傷の治癒が遅くなる可能性がある。
- 免疫低下が起こるため、生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) を接種しないこと。発症する恐れがある。
発現頻度の高い副作用
国内を含む第II相臨床試験において、本剤が投与された82例中81例(98.8%)に副作用が認められた。その主な副作用は、発疹48例(58.5%)、口内炎47例(57.3%)、高コレステロール血症35例(42.7%)、高トリグリセリド血症32例(39.0%)、食欲不振30例(36.6%)、ALT(GPT)上昇27例(32.9%)、高血糖26例(31.7%)であった。 海外第III相臨床試験において、安全性評価対象208例中、195例(93.8%)に副作用が認められた。その主な副作用は無力症83例(39.9%)、発疹70例(33.7%)、貧血68例(32.7%)、悪心54例(26.0%)、高脂血症51例(24.5%)、食欲不振47例(22.6%)、高コレステロール血症43例(20.7%)、口内炎41例(19.7%)、粘膜炎38例(18.3%)であった。成績
日本、中国及び韓国で実施した国際共同(アジア)第II相臨床試験において、進行性腎細胞癌患者82例を対象として、本剤20mg/m2 (6例)又は25mg/body(76例)を1週間に1回、30~60分かけて点滴静脈内投与を行うスケジュールで投与した結果、20mg/m2投与群に奏効例はなく、25mg/body投与群の奏効例は9例(11.8%)であった。 奏効率 高リスクの未治療進行性腎細胞癌患者を対象とした海外第III相臨床試験において、本剤投与群(25mg週1回点滴静脈内投与)は、インターフェロン-α投与群に比較して、全生存期間の有意な延長が認められた。なお、本剤とインターフェロン-αとの併用時は延命効果が検証されていない。海外第III相臨床試験における有効性解析の要約
インターフェロンα単独 209例 | トーリセル単独 209例 | トーリセル +インターフェロンα 210例 | |
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全生存期間中央値 (OS) | 7.3ヶ月 | 10.9ヶ月 | 8.4ヶ月 |
服用中の医薬品を自分の判断だけで、中止・用法用量変更することは危険です。必ず担当医や担当薬剤師に相談して下さい。
監修医師 藤沼秀光(医学博士) <藤沼医院 院長、栃木県警察医>
大学病院で研究、診療に従事したあと、藤沼医院にて統合医療に専念。学生時代より、病気は悪玉ではなく心と体のクリーニング現象(清浄化現象)であると捉え、その存在意義を追求するための研究・検証を行っている。’91年よりデトックス療法を開始、その後、魂と病気/心と病気、量子エネルギー測定等、未開発の先進医学に興味をもって取り組んでいる。日常診療では清浄化現象に適う、自然な医療を実践し、ガン・アトピー・リウマチ等の代替医療も手がけ研究会、学会、講演、TVで活躍し、遠く他県からの来院も少なくない。
学歴:昭和54年 3月 獨協医科大学医学部卒業/平成 2年 3月 医学博士号取得
所属学会:日本臨床生理学会 評議員/日本循環器学会 地方会評議員
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