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がんニュース/がん治療・治療薬情報

ハーセプチン乳がんの術前投与可能に

乳がん・胃がんの治療薬であるハーセプチン(トラスツズマブ)に効能・効果が追加され、乳がんの術前補助化学療法として使用することができるようになりました。 ハーセプチンはHER2過剰発現がみられる乳がんの治療薬として、国内だけでなく、海外でも標準的に使われている分子標的薬です。

HER2(ハーツー)過剰発現とは

HER2遺伝子は細胞の増殖の調節に関わる遺伝子です。そのHER2遺伝子に異常が起り、HER2タンパクが過剰に作られるようになってしまった状態がHER2過剰発現と呼ばれています。 HER2タンパクが過剰に発現した細胞は、増殖の制御ができなくなり「がん化」してしまうと考えられています。

術前化学療法とは

手術の前に行う抗癌剤治療のことです。 術前化学療法の目的は
  • 手術前に全身に広がっている可能性のあるがん細胞を叩く。
  • 抗癌剤で腫瘍を縮小させ手術を可能にしたり、手術範囲を狭める。
特に乳がんの場合では、術前化学療法が提案される機会が多くあります。腫瘍を3cm以下にできれば、乳房温存手術に持ち込める可能性があるためです。そのため以前から術前化学療法の有用性について評価・検討されてきました。 ただし必ずしも化学療法の効果が出るとは限りません。治療期間中にがんが進行してしまう可能性があることは知っておかなくてはなりません。 今回の効能効果の追加により、ハーセプチンはHER2過剰発現がみられる乳がんに限り、術前投与が可能となっています。