「不老不死」を夢見た始皇帝と徐福【冬虫夏草ライブラリー】
- 更新日2022年01月07日
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中国全土を初めて統一した秦の始皇帝。その絶大な権力で全国に郡県制度を敷き、貨幣・度量衡・文字の統一を図り、北方からの匈奴を討ち、万里の長城を築き、今のベトナム北部まで領土を広げたが、頂点を極めた後は「不老不死」が最大の望みだったという。
あるとき部下たちに、「仙草をどんどん栽培して持ってくるように」と命じる。この仙草こそ「冬虫夏草」ではなかったかと推測されるが、何しろこれは前人未踏の霊峰でしか採取できない希少なもの。そうそう簡単に集められるはずもない。
ところがただ一人、神仙の術を行う斉国の徐福だけが「東方の神山に長生不老の薬を練っている仙人がいる」と始皇帝に売り込んだ。喜んだ始皇帝は徐福に巨額の金銀を与え、東海に秘薬を求めるよう命じる。徐福は若い男女や技術者など数千人を率い、紀元前210年頃に船出した。邪馬台国より400年も前の話だ。
徐福はやがて日本に到着し、平原広沢の地を見いだして国を建てたと伝説はいう。徐福上陸伝説の残る地は、北は青森から南は鹿児島まで全国30以上にものぼる。彼の墓まである和歌山県新宮市が有名だが、この墓は後に紀州徳川藩主の徳川頼宣が江戸時代に建てたもので、実際に徐福の骨が入っているわけではない。
昔の中国の人に「仙人が暮らし長生不老の霊薬がある」と思われていた日本。日本国民の平均寿命は1940年代中盤からずっと右肩上がりで、2016年は女性87.14歳、男性80.98歳でいずれも過去最高を更新したと聞けば、始皇帝ならずとも、日本人はどんな「仙術・秘薬」を用いているのか、知りたかろう。