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メトホルミン(糖尿病治療薬)で大腸がんリスク低下の可能性

 メトホルミンを使用している2型糖尿病患者は大腸がんのリスクが37%低下する。

Zhi-Jiang Zhang氏らは米国糖尿病学会が発行する医学誌DiabetesCareに興味深い研究を発表しています。 メトホルミンが、がんリスクを低下させるという報告はいままでにも複数発表されています。今回Zhi-Jiang Zhang氏らは、過去のメトホルミンに関する研究を解析しました。 対象は108,161例にもなります。 解析の結果は、2型糖尿病でメトホルミンを使った患者は、メトホルミンを使わなかった患者に比べて、大腸がんの発生危険度は0.63と有意に低かったとのことです。すなわち大腸がんリスクが37%低下したという意味です。 報告は、「更なる調査が必要である。」として締めくくられています。 健康や免疫力を維持できる「冬虫夏草」とは?

メトホルミンは見直されるべき?

ビグアナイド系と呼ばれる2型糖尿病の治療薬です。強力な薬とは言えませんが、肥満型の糖尿病に向いており、膵臓への負担が少ないというメリットがあります。世界では標準的な糖尿病治療薬ですが、日本での使用頻度はあまり高くありません。 メトホルミンが海外ほど使われない理由の一つは、乳酸アシドーシスという副作用が起こる可能性があるためです。ですが乳酸アシドーシスの頻度はけして高くはありません。むしろ強力な血糖降下剤による低血糖のほうがよほど警戒されるべきです。 乳酸アシドーシスは特に日本人で多いというわけではありませんが、日本では異常に警戒されている副作用です。もちろん油断してはいけませんが、注意して使っていればそれほど心配しすぎることはないでしょう。 またメトホルミンは低価格(250mg錠=10円以下)です。その上に大腸がんの発生リスクを低下させるとなれば、国民医療費の面からもメリットの大きな薬だと思います。 ちなにみ膀胱がんリスクを上昇させる報告がある糖尿病治療薬ピオグリタゾン(アクトスなど)とはまったくの別成分です。

大腸がんの傾向

最近、目立って増えてきているがんです。発生リスクを上昇させる要因はいくつもありますが、食の欧米化が影響していると考えられています。アメリカでは7%の人が大腸がんに罹ると言われています。 大腸がんは生活習慣病だと考えてもらって良いでしょう。おそらく大半の大腸がんは予防することができます。 大腸がんのページもご参照ください。

がんリスクを低下させる薬剤

メトホルミン以外にも大腸がんや他のがんのリスクを低下させる薬があります。 鎮痛薬で有名なアスピリン、胃潰瘍の治療薬のシメチジンにはがんリスクを低下させる可能性があります。動物治療の世界では、膀胱がんの治療には消炎鎮痛剤はよく用いられています。 もし頭痛や胃炎の治療薬を選択する際には、これらを考慮しても良いかと思います。(短期間の使用でメリットがあるかは不明です。) [add_post_attention]
監修医師 藤沼秀光(医学博士)  <藤沼医院 院長、栃木県警察医> 

監修医師 藤沼秀光(医学博士)

大学病院で研究、診療に従事したあと、藤沼医院にて統合医療に専念。学生時代より、病気は悪玉ではなく心と体のクリーニング現象(清浄化現象)であると捉え、その存在意義を追求するための研究・検証を行っている。’91年よりデトックス療法を開始、その後、魂と病気/心と病気、量子エネルギー測定等、未開発の先進医学に興味をもって取り組んでいる。日常診療では清浄化現象に適う、自然な医療を実践し、ガン・アトピー・リウマチ等の代替医療も手がけ研究会、学会、講演、TVで活躍し、遠く他県からの来院も少なくない。

学歴:昭和54年 3月 獨協医科大学医学部卒業/平成 2年 3月 医学博士号取得
所属学会:日本臨床生理学会 評議員/日本循環器学会 地方会評議員